【破獄 】テレビ東京ドラマ 吉村昭原作から探る4つの見どころ

テレビ東京で2017年4月12日(水)夜9時に放送される「破獄」。原作の吉村昭文学から番組の見どころを探ります。

 

破獄の原作

ドラマ「破獄」の原作は、同名の小説「破獄」(新潮文庫)。

読売文学賞を受賞した吉村昭のノンフィクション文学です。

「破獄」は、アンリ・シャリエールの伝記小説「パピヨン」と並ぶ2大脱獄文学だと個人的には思います。

「パピヨン」は、スティーブ・マックイーン主演で映画化され大ヒット。

終身刑の主人公が、何度失敗しても諦めず、最後に命がけの脱獄に成功する話です。

脱獄モノの映画でいえば、スティーブン・キング原作の「ショーシャンクの空に」も元銀行マンの主人公が頭脳と忍耐で脱獄に成功する話でした。

他にも「アルカトラズからの脱出」や「大脱走」など脱獄をテーマにした作品はたくさんあります。

脱獄ものが受けるのは、刑務所を社会に例え、そこからの脱出を描く事は、人間にとって自由とは何かを考えさせる根源的なテーマだからかもしれません。

ちょっと話がそれたので「破獄」に戻します。

さて、小説「破獄」は脱獄の天才「佐久間」と、それを阻止しようとする刑務官たちとの闘いを描いた小説。

「破獄」のモデルになったのは、実在の天才的脱獄犯「白鳥由栄」。

作者の吉村昭は、元刑務官から白鳥由栄の話を聴き、それを小説にしたといいます。

今回のテレビ東京のドラマで主人公「佐久間清太郎」を演じるのは「山田孝之」。

「ウシジマくん」などの演技が光る、闇と狂気を演じられる個性派俳優。

対決する看守役には、「ビートたけし」。

やはり人間の闇と狂気を演じたら右に出る者のいない役者。

ビートたけし演じる看守は、佐久間と闘いながら奇妙な共感も芽生えさせて行く。

その辺りの感情表現も見所です。

4つの見どころ

さて、自分が思う原作からみた見どころは次の4つ。

見どころ1 超人的な身体能力

佐久間は、5メートル以上の刑務所の壁を手ぬぐい1本で乗り越える能力を持っています。

また、関節を外して配膳用の小窓を抜ける事も出来る。

煙突や柱を引っこ抜いて、ハシゴがわりにするほどの怪力もある。

まさに、超人的な身体能力でどんな難攻不落の刑務所からも脱走してしまうのです。

しかし、そんなのはまだ序の口。

脱獄を重ねる佐久間に手を焼いた当局が作ったのは、特別仕様の佐久間専用独房。

入口以外、開口部は無く、四方は絶対に破れない分厚い壁に囲まれている。

壁は垂直に高くそそり立ち、もちろん突起物など一切無い。

はるか高い天井に鉄格子のハマった明り取りの小さな天窓があるのみ。

絶対に脱獄不可能な構造。

しかし、ある日佐久間が忽然と姿を消す。

脱獄したのだ。

パニックに陥る看守たち。

どうやって出たのか?

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やがて、独房の壁を登り、天窓を壊して脱獄したことが明らかになる。

ツルツルの垂直の壁を素手で登る。

そんなことが人間に可能なのか?

ネタバレなので書きませんが、あっと驚く方法で佐久間は登ったのです。

実はこれを読んだ時、自分も試してみたが、とても出来ませんでした。

この佐久間の超人的な能力は、もしまともな世界でスポーツに取り組めば素晴らしい結果が残せたに違いないと思わされます。

 

見どころ2 巧妙な心理戦

佐久間は、心理戦にもたけています。

囚人は24時間、看守により監視されている。

その監視の目をいかにそらすかが心理戦の要となる。

100%の脱獄率を誇る天才には看守は警戒を強めると同時に、恐れを抱く。

当時の看守の労働条件は厳しく、俸給は一家が食べて行くだけで精一杯。

もし、自分の当番の時に脱獄されれば、減俸、懲罰が待っている。

そこに佐久間は、つけ込みます。

ある時は同情を買い、ある時は看守を恫喝。

看守とて人間、その心理を巧みについて、次第に監視の目を緩めるのです。

 

見どころ3 頭脳と持続力

佐久間は、あらゆる物を脱獄に応用できる頭脳を持っています。

何度目かの脱走で、佐久間は硬く分厚い壁で囲まれた独房を、ある食べ物を使って破る。

これもネタバレなので書きませんが、それはごく普通の刑務所の食材。

ただし恐ろしく忍耐のいる作業です。

佐久間は驚くべき発想力と持続力でついに脱獄します。

ここが天才なのです。

 

佐久間は、超人的な身体能力、巧みな心理戦、頭脳と持続力、その全てが備わっている異能の天才的脱獄犯でした。

ドラマで、この天才と刑務官の戦いがどのように描かれるか注目です。

 

見どころ4 不思議な人間性 

佐久間は殺人犯です。

その意味では同情の余地はありません。

ただし、人間として見た時に不思議な魅力があります。

佐久間は凶悪でありながら、義理硬さと情が同居した人間です。

唯一心を開いた看守の当番日には、決して脱獄しない。

脱獄した後に、その看守の元に、のこのこと自首しに来たりもします。

結局、人間をつなぎとめるものは、鎖ではなく情なのでしょう。

以上4つが、見どころですが、ドラマは原作に忠実である必要はないし、実際に時間の問題でかなり省略されると思います。

その中で原作の面白味をどこまで活かせるか楽しみです。

 

佐久間は、心の中に闇と孤独を抱え、ひたすら脱獄のための脱獄を繰り返したある種の天才でした。

彼にとっては脱獄こそが、自己表現、生きている証だったのかもしれません。

 

吉村昭のおススメ作品

吉村昭は、昭和から平成にかけて活躍した作家です。

特にノンフィクションには卓越した才能を持っています。

作品の多くが、ドラマ化や映画化されています。

今村正平監督・役所広司主演の「うなぎ」や、緒方健主演の「魚影の群れ」などの映画

北海道で開拓民を襲うヒグマの恐怖と、猟師たちが戦った三毛別羆事件をモデルにした「羆嵐」もドラマ化されています。

「破獄」も以前、緒方健主演でNHKがドラマ化しています。

小説で「破獄」と似た傾向の作品は、江戸時代に種子島に流された講釈師瑞龍が流人仲間と丸木舟で脱島を決行する「島抜け」。

北海道での囚人たちによる開拓と、極寒での死と脱獄を描いた『赤い人』などもお勧めの作品です。

現場、証言、史料を周到に取材し、緻密に構成した物語を恬淡とした文章で書き綴る。

だが、一旦佳境に入ると圧倒的な筆力でグイグイと読者を引っ張って行く作家です。

中でも「破獄」は自分が一番好きな作品。

人間にとって自由とは何か、生きるとは何かを考えさせてくれます。

 

それにしても、塀の外にいる自分は、果たして自由と言えるのか?

今を自由に生きる為に何をすべきなのか?

そんな事も考えさせられるこの頃です。

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