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シニアに急増する覚せい剤中毒
ASKA(56歳)清原和博(48歳)高知東生(51歳)酒井法子(45歳)ナゼ、分別ある大人が、覚せい剤を止められないのか?自分が報道番組のディレクターだった時、中毒者3人を取材したことがある。当時、放送できなかったインタビューを整理してみたら、そこから3つの理由が見えてきた。
止めれない理由1・フラッシュバック
シニアに多い再犯者。覚醒剤の検挙者の6割が実は中高年だ。再犯率が高いのも中高年で、40代の検挙者の7割、50代以上の8割が再犯者だ。何度捕まっても止められないFさんに話を聞いた。
Fさん41歳 逮捕・止めるの繰り返し
女性・千葉在住・子供2人の母子家庭
F:中学時代から不良で、学校行かないで遊んでた。それで地元の不良出身のヤクザと付き合って、中学2年の時に車の中で覚せい剤を打たれたのよ。
F:そのとたん全身の毛が一本のこらずザーって逆立ってブッ飛んじゃった。鏡で自分を見てみろって言われて、見たら顔中に目が100個あって…スゴイ強烈な体験だった。
F:それから、中毒になって、何度も捕まった。子供が出来ても止めれなくて、そのせいで長男は脳に障害がある。
F:逮捕されると2年くらいは覚せい剤を我慢するんだけど、私が中毒って周りはみんな知っているし、誘いもあるのよ。やろうと思えば簡単に手に入るし、結局またやっちゃう。その繰り返し。
F:こないだの逮捕からそろそろ2年になる。クスリやってないよ。子供も大きくなってきたし。よく頑張ってると自分でも思う。私すごく太っているでしょ?本当はこんなんじゃないのよ。でも、クスリを我慢するには食べる事しかないの。
F:最近、よくフラッシュバックするんだ。例えばそよ風にあたったり、点滅しているランプを見ただけで、突然ワーってくるのよ。なんて言っていいかわかんないけど、ワーッて感じで頭の中が変になる。
F:クスリの事を考えない日は無いわね。とにかく、今日もやらなかった、という日を一日でも長く続けるしかないのかな。お墓に入るまで。
脳が壊れフラッシュバックが続く
覚醒剤を続けると、脳内報酬系という喜びを感じる神経がおかしくなり、脳が壊れる。壊れた脳は薬物使用時の幸福感をフラッシュバックさせ、意思と関係なく薬物を使うことを命令する。右手で薬を捨てた途端、左手で拾うと言われるように、自分自身がコントロールできなくなってしまう。
止めれない理由2・シニアの悩みと財力
Sさんは仕事や人間関係で行き詰っているときに、知り合いに勧められた。財力もあり社会的地位もあるシニアは、金払いもよく、口も堅い優良顧客だ。密売人はシニアの集まる飲食店などに出入りし近づく。
Sさん56歳 人に勧められ
男性・デザイン自営業・逮捕され執行猶予中
S:デザインの仕事は、追い込みになると寝る暇もなくなる。一つ大きいのが決まれば500万、1000万という金になるからね。でも年齢的に徹夜が辛くなってたし、アイデアも出なくて、コンペにも勝てなくなってきた。現場も30代が中心で、人間関係もうまくいかなくなってきて、行き詰まっていた。
S:そんな時、行きつけのクラブで知り合った人間から、スポーツ選手も使っている疲労回復の薬って勧められた。その人は会社を経営していて、身なりも良かったから。疑わなかった。
S:…いや本当言うと、チラッとヤバいかもと思ったけんだ。けど、とにかく現状を変えたかった。アイデアが出るなら悪魔に魂を売ってもいい、そこまで追い込まれてたんだ。
S:クスリをやると、すごく仕事ができた。自分でも天才かと思うくらい。徹夜も平気だし、2倍も3倍も仕事ができる。何度もヤバイと思ったけど止められなくなっていた。
S:今、執行猶予中だけど、正直言うと、毎日やりたくてしかたない。ひたすら我慢している。例えるなら、信号でアクセルに足を乗せたまま、じりじり待っている感じ。ひたすら青になる瞬間だけ想像している。他には何も考えられない。
自ら通報し逮捕される
Sさん逮捕のきっかけは、自分から警察へ通報した事だった。しかし、その通報は覚せい剤使用の件ではなかった。いったい何を通報したのか?
次回、覚せい剤中毒者の異常行動をお話しします。
覚せい剤中毒者の本音 なぜ止められない?3つの理由ーそれでも私は後悔しない(2)
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