映画から学ぶ精神疾患【アルコール依存性・酒とバラの日々/リービング イン ラスベガス】
映画から学ぶ精神疾患【アルコール依存性・酒とバラの日々/リービング イン ラスベガス】

映画から学ぶ精神疾患【アルコール依存性・酒とバラの日々/リービング イン ラスベガス】

アルコール依存症をテーマに描いた映画「酒とバラの日々」と「リービング・ラスベガス」について考えます。

 

「酒とバラの日々」は、1962年制作のアメリカ映画。

テーマ曲はアカデミー歌曲賞を受賞、誰でも多分聞いたことのある名曲です。

タイトルからロマンチックなストリートを連想しますが、実際は酒で崩壊してゆく夫婦のシリアスな話です。

ジャック・レモン演じる酒好きの主人公は、大恋愛の末に結婚。子供も生まれ幸福な家庭を築きます。

ところが、酒の上の失敗で失脚し、出張が多くなります。

妻は淋しさから酒に溺れ、ある日酔い潰れてアパートを火事にしてしまいます。

そして…

アルコール依存性の夫婦が、禁酒や家出、入院などを繰り返し、何度も立ち治ろうとしては失敗して行く様は、見ていて本当に辛くなりやます。

自分のアルコール依存性を認めず家を飛び出す妻、娘が「ママはよくなるの?」と尋ねると「僕が治ったろ」と答えるジャック。

しかし、妻はバーに向かうところで映画は終わります。

 

徹底的にアルコール依存症の絶望感を描いた作品です。

アルコール依存症は、飲みたくなとも飲まないと自分が保てない病気です。

後悔しながら飲む、泣きながら飲むそんな病気です。

薬物依存、ギャンブル依存と同じで、夫婦やカップルでハマったらブレーキをかける者がいないので抜け出せません。

「リービング・ラスベガス」は、1995年制作のアメリカ映画。

ニコラス・ケイジがアカデミー主演男優賞、ゴールデングローブ賞男優賞を受賞しました。

ラスベガスを舞台にした、アルコール依存症の脚本家と娼婦のラブストーリーです。

この映画も徹底的な絶望感の中でもがき苦しむアルコール依存性の姿を描いています。

 

アルコールもギャンブルも薬物でさえも、やろうと思えば体験することは難しくありません。

ですが、誰もが必ず依存症になるわけではありません。

依存症になるのは、例えるならば、「ロシアンルーレット」の弾に当たるようなものです。

ロシアンルーレットとは、回転式拳銃の弾倉に弾を一発だけ入れて、ルーレットの様に回してから2人で互いに自分の頭に向けて撃ち合う命がけのゲームです。

6発の弾倉の5発は空なので、弾に当たる確率は6分の1ですが、当たれば必ず死にます。

これと同じで、体質や精神状態など、その人固有の条件がアルコールとピタリと噛み合った時に依存症という弾を引いてしまうのです。

依存症に陥ったら自力での更生は非常に困難です。

まずは、自分が依存性だと認める事が第一です。

次に辛くとも家族に打ち明ける事。

そして、アルコール、薬物、ギャンブルそれぞれに治療施設や自助団体がりますので、一刻も早く助けを求めるべきです。