仕事人ファイル2 清掃員 白井さん(仮名)63歳
60歳で工務店を定年退職。掃除夫歴2年。リアルな実体験を語ってもらいました。
シニア女子が90%を超えるという職場、清掃員の人間関係は?
白井:おばさんたちは、表面的には皆仲が良いね。でも、裏に回ると結構、あるんだよいろいろ。こないだまで、主任おばさんグループと反主任おばさんグループが対立しててね。
白井:俺が入ったばかりの頃、仕事上がりに反主任グループに誘われてコーヒーを飲んだんだ。別におばさんたちとコーヒー飲んでも嬉しかないけど、これも付き合いと思ってさ。まあ世間話したわけさ。
白井:すっとね、翌朝一番にだよ、主任のおばさんにさ、白井さんあんたあの人たちとコーヒー飲んで、あたしらの悪口言ってたでしょって言われたんだよ。何言ってんだって話よ。面倒くせえから、次からは誘わねても行かなくなったよ。
白井:そんでな、反主任グループのリーダーが、ある日ミスしたんだよ。例のアレさ、ゴミじゃねえもん捨てちまったんだ。
さあ、主任グループは、鬼の首でも取ったような勢いさ。捨てたおばさん菓子折り持って来てみんなに謝ったんだけど、結局主任がチクって首だよ。女ってのは情け容赦ないね。
女性上位の世界
白井:完全な女尊男卑の世界だよ。控え室なんか、ドア開けると目の前をロッカーがデンと塞いでんだ。ロッカーの向こうは男子禁制の世界さ。ドアがやっと開くくらいの狭いとこで男は着替えんだ。
向こうはどうなってるかってえと、畳が敷いてあって、花なんか飾ってテレビや冷蔵庫もある。おばさんたちは菓子食って茶飲んで、ワイドショー見ながらおしゃべりさ。
男は、外の配管の隙間で、缶コーヒー飲んで休むだけ。差別だよ。でも、おばさんたちにゃ勝てねえから大人しくしてっけど。
―良いところは?
白井:俺の担当ビルは、日比谷でね。地下鉄の駅を出ると目の前に皇居があるんだよ。毎朝一番で、皇居に一礼して、おはようございます、今日も頑張りますって、天皇陛下にご挨拶できるんだ。仕事はまあ、ノンビリやれる事かな。簡単だし、ストレスたまんないからね。おばさんたちも、気さくで親切な人が多いよ。居心地の悪い職場ではないね。
―嫌なことは?
白井:オフィスで時々、徹夜して寝ている人がいて、掃除が出来ねえんだよ。こないだなんか、真っ暗な部屋に女が倒れてて、ビックリよ。床で寝てたんだよ。一人でだよ。新聞社ってのは人使いが荒いね。
―どんな人が向いていますか?
白井:向いているとかってのは、ねーんじゃないかな。消去法で言えば、まあ掃除が嫌いってのは無理だろうね。おばさんに嫌われる人も難しいね。あとは挨拶とか礼儀がきちんとしてる事かな。朝早く出勤するお客さんもいるからね。
―資格や能力は?
白井:そんなもんないよ。検定とかはあるみたいだけど、資格取る人いんのかな。
取材後記―白井さんは、ざっくばらんにいろんな話をしてくれた。女性中心の職場である清掃員。その実態を少し知ることができた。次回は別の仕事人にインタビューします。
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