目次
ストレートネックの全て
前回、テレビ朝日・スーパーJチャンネルで放送された「行列のできる診療所・東京脳神経センター」を元に、「首こり」が体調不良や新型うつを引き起こす事をまとめました。今回はたくさんの人が気にしている「ストレートネック」の視点から首コリを見ていきます。
正常な首
松井博士の診察の中に出てきた骨のレントゲン写真で、ストレートネックを説明します。
首の骨は「頸骨」という細かい骨が連なって出来ています。
これは自然な状態では、ゆるやかにカーブを描いています。
下の写真の状態です。
このカーブがクッションの役目を果たし、重い頭を支えているのです。
首の骨は、なぜカーブが描けるのか?
その理由は、首の筋肉が柔軟に伸び縮みするからです。
異常な首
自然なカーブが失われて、真直ぐになってしまうのが
「ストレートネック」。
正常な写真に比べて、極端に真っすぐなのが分かると思います。
これが、さらにひどくなると、逆方向にカーブを描く「逆ネック」になることもあります。
このような状態になると、頭痛や肩こり、吐き気、不眠、疲労感、胃の痛み、うつ症状など様々な病気が噴出します。
なぜストレートになる?
なぜ、骨がまっすぐストレートネックになるのでしょう?
骨が勝手に変形することなどあり得ません。
何らかの外圧が加わるから変形するのです。
その原因は、首の筋肉の柔軟性が失われる事です。
首に大きな負担がかかると、筋肉が疲労して硬く凝り固まり、伸びなくなり、骨が引っ張られて真っすぐになると考えられています。
つまりストレートネックは骨の異常ではなく、筋肉の異常を表しているのです。
ストレートネックの原因は、首の筋肉疲労による「首こり」です。
首は脳と身体を結ぶ神経の通路。
そこに問題が起これば全身に不調が出るのは当然です。
首こり病
これまで首は病気は起こさない、そう考えられてきました。
言ってみれば医学のブラックボックスです。
ところが、最近の研究で首の筋肉異常が、心身の症状を引き起こす「首こり」に結び付くことが分かってきました。
首こりとは?
ストレートネックの原因、「首こり」とは何でしょうか?
東京脳神経センターの松井博士の研究によると「首こり」は、「肩こり」とは全く別なものです。
首こりは、長時間のうつむき姿勢などで首の筋肉が疲労し、自律神経に異常が起こる病気です。このような人のほとんどは、ストレートネックになります。
自律神経とは?
近年、神経内科だけでなく胃腸科や心療内科医も注目しているのが「自律神経」です。
自律神経には、交感神経と副交感神経の2つがあります。
交感神経
交感神経は活動モードの神経です。
身体を緊張状態に保ち、眠気を飛ばし、食欲も押さえて、戦いに集中させます。
興奮しているときは、眠くならないし、お腹もすきません。
交感神経が優位に働いているからです。
副交感神経
副交感神経は安息モードの神経です。
身体を休めリラックスさせ、気持ちを安らげ、ぐっすり眠らせます。
この2つの神経交感神経と副交感神経が、
バランスよく働くことで私たちの健康は保たれます。
ところが、「首こり」になると、副交感神経が大きなダメージを受け、バランスが崩れてしまいます。
バランスが崩れると
2つの神経のバランスが崩れるとどうなるか?
副交感神経の働きが低下し、
交感神経が優位に働き始めます。
すると、いつも戦闘モードでいることになります。
車でいえばアクセルを踏みっぱなしの状態です。
当然、体はいつまで経ってもリラックスできません。
不眠や食欲不振、慢性疲労症候群などで、たちまち疲れてしまします。
その結果、頭痛、疲れ、うつなど様々な心身の症状が出るわけです。
自己チェック
首こりの可能性を知るためのセルフチェックを用意しました。
自分がストレートネックかどうか、気になる方が多いと思います。
病院でレントゲンを撮ればわかる事ですが、なかなかそこまでは、と言う方は、お試しください。
【自己チェック】
思い当たる項目をカウントしてください。
1□ 肩や首がかなりこる
2□ めまい、耳鳴り、立ちくらみがある
3□ 胃の調子が悪い、吐き気がある(食欲不振、ボウマン感)
4□ 不眠、寝ても疲れが取れない
5□ 血圧が不安定、心臓が急にドキドキする
6□ 汗を沢山かく、顔や手足にだけ汗をかく
7□ 目が疲れる、乾燥する、まぶしい
8□ 頭痛が辛い
9□ 下痢や便秘をしやすい
10□ 喉に違和感があり、飲み込みづらい
【判断基準】
◎2項目以上:要チェックです。首こりの可能性があります。
◎5項目以上:注意です。日常生活に支障が出る可能性があります。
◎7項目以上:大注意です。すでに毎日が苦しいはずです。
このままでは「うつ」になる可能性もあります。
これらの症状は、自律神経の不調による不定愁訴とも呼ばれ、首こりにより発症する症状です。
病院では原因不明の体調不良と診断され、治療出来ないケースが多くあります。
首の筋肉異常になると、自律神経に不調が出るので、チェックが多いほど可能性が高くなります。
※このチェック表は、首の筋肉異常からくるストレートネックの可能性を測る目安です。チェックが多い場合は、他の病気の可能性もあります。
ストレートネックは警報
ストレートネックそのものは病気ではありません。
ストレートネックという病名すら存在しません。
ストレートネックは、首の筋肉に異常が起きている!というサイン=警報です。
火災警報が鳴ったら、警報機を止めるだけでは火は消えません。
火そのものを消さないかぎり火災は続きます。
それと同じく、ストレートネックを矯正枕などを使って治しても、症状は消えません。
だから、ストレートネックを治すという考え方は無意味です。
治すには、原因である首の筋肉異常を治す必要があります。
そうすれば自然にストレートネックが治るケースが多く、
たとえストレートネックが治らなくとも、症状は消えていきます。
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