冬の入浴中の急死が高齢者を中心に急増しています。その原因のひとつが熱中症。熱中症は夏だけとは限りません。冬はお風呂で熱中症になる事もあるのです。
厚生労働省の調査によると、一昨年(2015年)の家庭の浴槽での溺死者数は4,804人。
平均すると、1日に平均13人が溺死していることになります。
これまで、その原因の多くはヒートショックとされてきました。
ヒートショックとは、暖かい部屋から、急に寒い脱衣所や熱い浴槽内に移る時の温度変化によって血圧が乱高下し、脳卒中や心筋梗塞を引き起こすというものです。
しかし、最近では熱中症も多く発生している事が分かりました。
その一例が、去年(2016年)暮れ、大阪府の80代の夫婦が入浴中に溺死した事故。
その原因が、熱中症です。
千葉科学大の研究では、41℃以上で30分以上入浴すると、死亡する危険性が高まる―こんな分析結果も出ています。
なぜ冬の浴室で熱中症が多発するのでしょうか?
そもそも夏場の熱中症は、高温や運動などで体温が上がる事で起こります。
体温が上昇すると、汗をかきます。
その汗が蒸発させることで熱を逃がそうとしますが、水分が足りないと汗が出ず、体温がさらに上昇します。
その結果、めまいや失神などを引き起こすのです。
実は、これと同じ現象が冬の浴槽内でも起きます。
お風呂に入ると、体温は上昇していきます。
しかし、浴槽内では汗をかいても蒸発しません。
汗が蒸発しなければ熱が下がりません。
そのため、どんどん体温が上昇し、夏の熱中症と同じく失神に至ります。
熱中症で溺死するのは、急に意識を失うからなのです。
さらに高齢者は、温度を感じる機能が低下しているために熱いと感じないことがあります。
そのため長時間入浴しがちです。
その結果、熱中症になり、突如意識を失ってしまう危険があるのです。
溺死した人の割合を見ると、9割が65歳以上の高齢者です。
冬場の入浴は、ヒートショックだけでなく熱中症にも気を付けてください。
特に高齢者や家族の方は、熱いお湯に長いこと浸かるのは危険だということを知り、あまり長いようだったら声をかけるようにして下さい。
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