仕事人ファイル3 スナック係 佐藤さん(仮名) 57歳
バイトが店長を追い出す!?喫茶店の驚きのパワーバランスとは?
喫茶店の厨房歴5年の佐藤さんに、リアルな実体験を語ってもらいました。
―店長よりバイトが強い?
佐藤:今までバイトに2人の店長が追い出されているわね。一人目は、男だったんだけど、喫茶店の経験もあり、仕事も上手だったわ。でもね、ズルするのよ。早朝や深夜は、出てこないでバイトにやらせる。何か起きても連絡が取れない。無責任なのね。
夜勤の人が風邪で倒れた時も、店長は近くに住んでいるのに出て来ないで、別のバイトを捕まえて行かせるのよ。しかも態度も横柄でね。
佐藤:それで、バイトのリーダー格の子が怒っちゃったのよ。その子は元ヤンキーで気が強いの。ヤクザに怒鳴られても平気な子よ。
佐藤:その子を中心に8人くらいのグループみんなで、示し合わせて一番忙しいクリスマスや連休、深夜シフトを休みだしたのよ。私はこの年だし、一種別格だからそういう事にはかかわらないけどね。それで今度は店長が昼夜休みなしで連続出勤よ。それでも人が回んなくなっちゃって、とうとう疲れ果てて辞めちゃった。
佐藤:次に来た店長は、新卒採用で入った若い女の子だったんだけど、態度が大きいのよ。正社員というプライドと、バイトになめられたくないという気持ちだったんでしょうけれど。やっぱり仕事では、ベテランのバイトにかなわないわね。仕事が出来ないのに命令口調で威張っているうちに、リーダーグループのいじめが始まったわ。
佐藤:示し合わせて休むのはもちろん。今度は、毎日ロッカーに貼り紙も貼り出したのよ。
「バイトが上がってきたとき、ご苦労様の一言も言えないのですか?」とか
「指示が違っているので、仕事になりません」とか
「パソコンばかり見ていないで、手伝ってください」とかね。
結局その子も。スタッフの管理ができないという事で、店長はクビ。グループ会社のスーパーの店員に降格されたわ。
佐藤:その子にもいろいろアドバイスしたけれど、どうにもならなかったわね。喫茶店はベテランのバイトで持っていることを理解して、上手に使えないと店長はできないわね。
―他のトラブルは?
佐藤:喰い逃げする人がいるのよ。その時は、店長が必死になって追いかけるけど、喰い逃げする人ってみんな足が速いから、追いつけないわね。
佐藤:あとは、勝手に備品持って行かれること。灰皿やカップはまだしも、こないだなんかサンドイッチを持ち帰りたいから、アルミホイルくれって言われて、たまたま新品の業務用の分厚いアルミホイルしかなくて、渡したのよ。そしたら丸ごと持って帰られちゃった。結構高いのよあれ。
―良いところは?
佐藤:私は料理を作るのが好きなので、美味しく食べてもらうのは嬉しいわね。私の出す料理は、他の店より盛りがいいと思うわよ。あとは、出勤は自由に決められる事かな。若い子同士にはいろいろ人間関係があるみたいだけど、私らおばさんは、お母さんとして見られているから、慣れると気楽な仕事かもね。
―嫌なことは?
佐藤:立ち仕事なので、足が疲れるわ。あとは、やっぱり喧嘩とかもめごとは嫌ね。
―どんな人たちが働いていますか?
佐藤:7割以上が女。ここの稼ぎだけで生活している人が多いわね。歌手志望や料理人志望の子、主婦やOLも。だいたい20~30歳代の女性が中心ね。突っ張っている子もいるけど、みんな仕事にはまじめな子ばかりね。30代と50代の男性もいるわよ。2人とも大人しいタイプよ。
佐藤:若くてもなかなか正社員にはなれない時代だからね。みんな一時的な仕事としてやっているのだろうけど、どこまでいってもバイトはバイトだもんね。将来の不安はみんなあると思いますよ。
―どんな人が向いていますか?
佐藤:接客業だから、礼儀とか言葉づかいは大事ね。身だしなみがきちんとして清潔な人なら大丈夫だと思うわ。男の人は、女性の多い職場だから、女の気持ちが分かる人じゃないと、厳しいかもね。
取材後記―ちょっと美人で、まだ40代にしか見えない佐藤さん。若々しさの秘密は接客業という仕事にも関係があるのかもしれません。アルバイトが中心になっている喫茶店の世界を教えてもらう事が出来ました。
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次回は別の仕事人を取材します。
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