仕事人ファイル7自動販売機補充員助手 藤井さん(仮名) 67歳
65歳で営業職を定年退職。いろいろなアルバイトを経験。リアルな実体験を語ってもらいました。
ー時給が2倍になる自販機補充の特別な日とは?
藤井:この仕事は年に一度おいしい時期があるんだよ。ほとんど昼には終わっちゃう日があるんだよ。秘密だけど教えちゃうか。
藤井:このバイトが一番おいしい時期、それは正月だよ。自販機って、実は正月は全く売れないんだ。俺は正月は店も閉まっているし、自販機は大繁盛だろうと思ってたら、正反対なんだね。考えてみれば、飲み物なんか年末のうちに買い込んでるからね。だから全然売れないんだよ。当然補充もほとんど無し。
藤井:しかも、これはうちの営業所だけかもしれないけど正月はドライバーの麻雀大会があるんだ。だから、みんなそわそわして仕事どころじゃない。さっさと12時頃には終わっちゃうよ。
藤井 : それでも、こっちは16時までの時給はつく、つまり4時間で8時間分の時給がもらえるわけさ。ちょっとしたお年玉だね。正月の間は狙い目だよ。
―この仕事を始めたきっかけは?
藤井:実は定年後に再就職しようと思って仕事探しを始めたんだ。正社員は無理でも、契約社員でもいいから定職につきたかった。だから時間に縛られず、いつでも辞められるようなバイトってことで、アルバイト情報誌でこの仕事を見つけたんだよ。結局、まだ仕事は見つかんないよ。65歳からの仕事探しは厳しいね。
―どんな人たちが働いていますか?
藤井:このバイトは、何故かわかんないけど若い人か、60歳70歳のシニアが多いね。中年は少ないよ。
藤井:ドライバーの方は20代の無口な人が多い。大学出てやってる兄さんもいる。話好きでいい青年だよ。大学出ても、こんな仕事しかなかったってボヤいてたけど、確かにその気持ちは分かるよ。毎日毎日、自販機にドリンク補充してるだけってのも、辛いかもな。
―嫌なことは?
藤井:俺は当たった事がないけど、ドライバーの中には嫌な奴もいるそうだよ。横柄で口の悪い奴や、女の子のバイトにセクハラまがいの事をするやつとかね。ドライバーが言ってんだから、本当なんだろうね。でも俺が組んだのは、ほとんどいい人ばかりだよ。
―職場の空気は?
藤井:職場って言ったって、トラックの中で相手はドライバー1人だからね、相手次第だよ。ドライバーも話好きの人もいれば、無口な人もいる。1日2人きりだからね、早めに打ち解けるように接するのがコツだね。その方が後々楽だよ。
―どんな人が向いていますか?
藤井:運転しないから、免許もいらないし、ほとんど座っているだけの気楽なバイトだよ。でも一日中、他人と2人きりだから人見知りする人には向いてないかもね。助手席に座っていると眠くなるけど、居眠りするような人もまずいと思うよ。
取材後記―
藤井:助手席に座っているだけでお金になる。そんなバイトがあるとは知りませんでした。確かに楽かもしれませんが、1日中知らない人とドライブするのは、それはそれで気を使う仕事なのかもしれません。
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